令和４年度 福岡県立筑紫中央高等学校 創立記念式 校長式辞
筑紫野に初夏の息吹を感じる今日の日、令和４年度筑紫中央高等学校創立記念式を挙行できますことを皆さんと共に喜び、ご臨席頂きましたPTA会長倉地様、同窓会会長 鬼塚様をはじめご来賓の皆さまに心から感謝申し上げます。
本校は、歴史と伝統を受け継いで創立１０５周年を迎えました。今日まで、本校に心を寄せご尽力頂きましたすべての皆様に感謝し、深く敬意を表します。
本校は、大正６年、大野、那珂、曰佐、春日の四ヶ村による筑紫実業女学校として、雑餉隈、現在のＪＲ南福岡駅前に開校しました。 そして昭和３年に筑紫高等女学校となり、学制改革により、昭和２４年、男女共学の県立筑紫中央高等学校が開校されました。 また、戦後の混乱や２度にわたる校舎焼失の悲劇と苦難をも乗り越え、新時代の教育に向けて更なる発展を期して、 昭和３０年に、ここ下大利へ移転しました。爾来６０年有余の間、本校で青春時代を過ごし学んだ生徒の皆さん、並びに情熱をもって教育指導に当たられた教職員の方々のご努力、併せて、保護者、地域の方々の多大なご支援に思いを致し、校長として胸に深く刻み感謝しております。
創立以来の卒業生は３万７千を超え、各界各層で多数の方が活躍しておられます。これは、本校の歴史であり伝統ですし、積み重ねてきた教育実践の成果の一端です。在校生の皆さんが、人生を展望し目標を掲げたり、実際に進路を選択したりする時にも大いに参考になると考えていますし、ぜひ役立てて欲しいと願っています。
さて、関係各位の期待とご尽力により、新校舎、体育館が来年２月に完成予定です。生徒の皆さん、新しい学び舎で友と語らい友情を育み、自分の可能性に挑戦する力を身につけてください。それが本校の新しい歴史の一歩であり、伝統を継承し創造していく力強く確かな一歩でもあると確信し、大いに期待しています。加えて８月に西鉄 新下大利駅が開設されることは、地域に開かれ交流を大切にする本校の進むべき道に沿うものと考えています。これらの環境整備を踏まえ、教職員一同も新たな気持ちで、皆さんの可能性を信じて熱い思いを胸に教育指導に力を注いでいきます。皆さんが具体的に行動で応えてくれることを心から願い、期待し信じています。
この機会に生徒の皆さんに達磨大師にかかわる話を一つします。
大師は、禅宗の祖師ですが、通称「ダルマさん」で広く知られています。大師が中国で禅宗の教えを広めていた時、紀元前２世紀ごろの漢の全盛期の皇帝、武帝に招待された折のことの話です。
武帝の「自分は多くの寺を建立し、お経を写して仏教を広め、僧侶の皆さんの生活を支えていきたので、どのくらいの功徳があるものか」との問いに大師は、一言「無功徳（むくどく）」と答えました。善い行いを「功徳（くどく）」といい、大師は下心あっての行いには功徳はなく、褒美を期待する行いは意味がないと伝え諭したのです。例えば、様々な場面で人に席を譲ることも、人の命を救ったことでさえも、見返りを期待するものではない。結果として周りの人に爽やかさや人としての温かさ優しさが伝わり、自分自身の心の豊かさを増していくものと私は受け止めています。
皆さんもそのような行動を通して、人として、一回りも二回りも大きく成長して、自分なりの社会貢献を視野に入れた有意な人生を送って欲しいと、心から願っています。そのためにも、筑紫中央高校での生活で、校訓「至誠・自立・識見」を拠り所とし、人としてのたくましさと社会の多様で激しい変化を乗り切り、生き抜く力を身につけてください。このことが私はもとより本校職員の何ものにも代えられない願いです。
結びになりますが、御臨席いただきましたご来賓の皆さまに、改めて感謝申し上げますとともに今後とも本校への御支援、御指導をお願い申し上げまして、校長の式辞といたします。 令和4年６月２０日 筑紫中央高等学校 校長 林 節子
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記念講演会後：講師 末次敏男氏（第３６回卒業生）とPTA会長・同窓会の皆さま |